高血圧

高血圧とは

日本人の3人に2人高血圧の遺伝的素質を持っており、4,000万人以上が高血圧といわれています。

高血圧は、自覚症状がないことからサイレント・キラーともよばれ、放置すると知らず知らずのうちに血管をいため、脳や心臓、腎臓などの臓器に障害を引き起こします。

血圧が高くなると、全身に血液を送り出す心臓に大きな負担がかかるだけでなく、血圧を受け止める血管も硬くなってくるため、動脈硬化が進み、これが心臓病や脳疾患などを引き起こす原因となるのです。

高血圧の検査

高血圧の検査

まず、家庭血圧(自宅での血圧)を、起床時就寝前の1日2回測定します。

いくら健康診断や医療機関で高血圧を指摘されても、家庭血圧が正常(135/85mmHg未満)であれば心配いりません。

緊張による一時的な血圧上昇と考えられるからです。 逆に、家庭血圧が高い患者さんは仮面高血圧といって脳卒中や心筋梗塞などが発症しやすいといわれており注意が必要です。 現在は、血圧コントロールの目標として主に家庭血圧を用います。 ほとんどの方は、本態性高血圧という“いわゆる高血圧”で遺伝や生活習慣などが原因と考えられています。また40歳未満の若年性高血圧の患者さんには、ホルモン異常などが隠れている場合があるため、血液検査を行います。 


高血圧の治療

高血圧の治療

はじめて高血圧と診断された方には、まず減塩による食事療法を実行していただきます。

日本人の1日食塩摂取量は11gと欧米に比較してかなり多く、また日本人は食塩摂取により高血圧になりやすい(食塩感受性の高い)人種と言われています。メタボな方には適切なカロリー制限と運動による減量も必要になります。

それでもなお血圧が下がらない方には、お薬を内服していただくことになります。特殊な場合を除き、急いで血圧を正常化させる必要性はありません。最初は降圧剤を少量から開始し、薬剤の効果が安定する2週間~1ヶ月ごとに、用量や種類を調節してゆきます。最近の降圧剤は1日1回が主流で、深刻な副作用もほとんどありません。患者さんの合併症の有無や血圧の日内変動などにより、それらの薬剤を使い分けます。


すでに長期間高血圧にかかっておられる患者さんには心臓、脳、腎臓、眼などの合併症や他の生活習慣病(糖尿病、脂質異常症、メタボリック症候群)の精査を行い、必要に応じてそれらの治療を開始します。
なお、ご高齢の患者さんに関しては、夏場の低血圧に注意しながら緩やかにコントロールすべきとされています。 

血圧は、2mmHg下げれば、脳卒中による死亡者は1万人減り、循環器疾患(心筋梗塞など)による死亡も2万人ほど予防できるといわれています。医師の指導のもとに、減塩、カロリー制限、禁煙、運動など生活習慣の是正を行いながら適切な降圧剤の内服を行い、血圧をしっかり下げて健康な生活をおくりましょう。